幼児英語教育の弊害についてです。
年々早期化している幼児の英語教育ですが、その弊害はないのでしょうか?
幼児期から英会話教室や英語塾に通わせているご家庭があります。
将来英語で困らないようにと、バイリンガル教育に熱心なご家庭もあります。
英語を取り入れる幼稚園も多くなっていますが、中でも外国人講師が英語で保育を行うインターナショナル・プリスクールは、低年齢児から「英語漬け」の生活が送れるため、人気が高まっているようです。
しかし、英語の早期教育にはメリットがある反面、デメリット(弊害)として、母国語の習得が遅れるのでは?という懸念の声もあります。
幼児期の早期英語教育について賛否両論ある中で、親はどのようにしていけばいいか考えてみましょう。
この記事に書いてあること
幼児英語教育の弊害 幼児期から英語漬けでバイリンガルになれる?
幼児期から英語漬けの毎日を過ごしていれば、バイリンガルになれるのでしょうか?
少なくとも、週1回の幼児向け英会話教室や英語塾に通う程度では、バイリンガルになることはできません。
インターナショナルプリスクールなどに通って、平日の昼間はすべて英語漬け、というくらいの生活をしていけば、バイリンガルになる可能性も出てきます。
ですが、中途半端な覚悟の下、幼児期の幼い頃から英語教育をしていくと、母国語の習得に弊害が出るとも言われています。
インターナショナル・プリスクールなどの「イマージョン教育」
日本に住んでいても普段から英語を使う生活をさせたい、と幼児の頃からインターナショナル・プリスクールなどへ通うご家庭もあります。
「インターナショナル・プリスクール」とは、全て英語で保育を行う施設です。
早いところでは0歳児から受け入れ可能のスクールもあります。
英会話教室で「英語を習う」のとは違った、英語での生活に浸りきった状態(イマージョン)で、子供達は生きた英語を自然に身につけていくことができるのです。
こういった教育を「イマージョン教育」といい、カナダで第二言語であるフランス語を習得する際に用いられたことから始まり、現在は世界各地で行われています。
低年齢児は耳にしたままの音そのままで話すので、通っているお子さんのネイティブ並みの発音に驚かされることでしょう。
ただし、そのバイリンガル教育には懸念の声もあるのです。
幼児英語教育の弊害、母国語習得の懸念
イマージョンプログラムは、家庭内での母語の使用、国語の授業など、母語の習得環境が十分整っている前提で、第二言語の習得を目指すものです。
しかし、母国語の習得が未熟なままに英語中心の生活を送った場合、子供達の日本語の習得に問題があるのではないか、とも言われています。
人間は、脳だけでなく他の器官も、5歳位までに母語を習得するための基本的な機能が形成されるそうです。その時期に日本語中心か、英語中心か、母国語によって、人間の器官形成にも影響が出るというのですから驚きですよね。
そして、10歳までに人間の語学中枢は完成すると言われているので、それまでに母国語をしっかりと作る必要があります。
母国語はその言語が持っている感覚や特徴なども理解できる、人が思考するための基礎言語となります。人間は言語によって思考しているので、言葉を知らなければその概念自体も理解できないのです。
「ダブルリミテッド」「セミリンガル」とは・・・
母国語の習得の遅れとは、英語と日本語どちらも未熟な状態でいると、どちらの言語もうまく使えない「ダブルリミテッド」または「セミリンガル」になってしまう可能性があるのです。
「ダブルリミテッド」「セミリンガル」とは、母国語を習得しないまま外国語を習った場合、どちらの言語も年齢相応の言語能力がついていない状態です。
中には、2つの言語が混ざり合った状態で話している子を、バイリンガルだと褒め称えてしまっている親御さんもいます。子供本人の中で2つの言語の区別がついていない状態は、非常に危険です。
ダブルリミテッドやセミリンガルになると、誰とも十分な言語的コミュニケーションが取れず、深刻な場合、自我が確立できないために精神的に不安定になったり、心や知能、理解力の発達が遅れるなど根深い問題に苦しむことになります。
では、そうならないためには何が必要なのでしょうか。特に、ダブルリミテッドやセミリンガルになりがちな環境にある3つのケースについて書いてみます。
【海外赴任などに伴い英語圏で生活する場合】
海外で生活する際には「子供がバイリンガルになれるかも!」と期待してしまいがちですが、日本語教育もしっかりと継続することが大切です。
家族とは日常会話レベルの日本語では話せたとしても、成長すれば、漢字や敬語など、年齢相応の日本語力がやはり必要になってきます。そのレベルの日本語は、やはり学び続けなければ習得が難しいものなのです。
いずれ日本に帰国した際に困らないように、現地で日本語の学習を継続する努力をされているご家庭は多いようです。
そして、英語力もそれなりに高いレベルを目指すならば、しっかりと教育を受けることが必要です。ただ単に、英語圏に住んでいて生活上で使っているから、というだけだと、将来的に仕事などで使えるレベルの英語力にならない可能性が高いです。
バイリンガルを目指すならば、英語圏に住むから自然にバイリンガルになれる、というものではないことをまずは理解する必要があります。
【ハーフのお子さんの場合】
国際結婚のご家庭では、父親(英語圏出身)とは英語で話し、母親(日本人)とは日本語で話す、というように、「話す相手」と「話す言語」の徹底をしているところも多いようです。
お子さんが混乱しないためには、一人が多言語を使用するよりも、「話す人」を固定する方がいいと言われます。
このように幼い頃から英語と日本語の生活をしていて、バイリンガルに育つケースもあります。
しかしながら、幼い時期に英語を教えるのが問題なのではなく、どちらも中途半端になっていないか、バイリンガル教育のつもりがダブルリミテッドの要因になっていないか、十分に気を使う必要があります。このような危険性もあることを踏まえ、しっかりお子さんに向き合っていきましょう。
【英語教育に非常に熱心な家庭の場合】
日本国内に在住で、両親ともに日本語を母国語とする日本人でありながら、非常に英語教育に熱心なご家庭もあります。
幼児期からインターナショナルプリスクールなどに通わせて、平日昼間は英語のみ、もしかすると家庭での会話も英語を使っていることもあるでしょう。
そのような生活を送っていると、いつ日本語を学ぶのでしょうか?
日本人家庭で日本で生活しているから、日本語は自然と身につく、できるようになると思ったら大きな間違いです。母国語であっても、しっかりと学んでいかなければ、正しい日本語は習得できませんし、日本語で考える力も育たないのです。
幼い頃から英語教育に力を入れるのも素晴らしいことですが、まずは母国語を習得しないといけないことを理解することが大切です。
我が家の幼児期の英語教育
我が家でも英語教育に程よく力を入れています。
とはいえ、幼児向けの英会話教室や英語塾に通っている訳ではありません。幼児と小学生の姉妹がいますが、ペラペラに英語を話すとか、バイリンガルを目指しているとかではありません。
将来的にバイリンガルレベルの英語力を習得できたら、それはそれで便利で良いとは思うのですが、今の時期にそのレベルを求めている訳ではないのです。
ただ、本人が英語に目覚めた時に苦労しないように、英語を聴きとれる力を養ってはいるのです。
というのは、日本語と英語では使われる音の高さや発音が異なります。日本語のみで生活をしていると、その英語の音を自然と聴きとれなくなってしまうのです。どんな音でも聴き分けることができる赤ちゃんの耳が、徐々に日本語のみ聴きとれるように変化していってしまうそうです。
そのため、毎日、正しい英語をたくさん聴かせるようにして、英語を聴きとれる力を養っているのです。
そのための方法は、自宅で毎日7分、「セブンプラスバイリンガル」のCDを聴かせているだけです。「セブンプラスバイリンガル」は七田式英語の教材で、専門家によって研究しつくされた内容で作られているCDの英語教材です。
ですから、毎日7分の1日分の英語を、ただ単に聴かせるだけで効果が期待できるのです。
実際に、姉妹ともに、英語の発音は非常に良いのです。まだまだ簡単な英語しか真似して話すことはできないのですが、一つひとつの単語の発音はネイティブに近いような発音なのです。
幼児英語教育の弊害。母国語習得の重要性 まとめ
幼児期から英語教育に熱心な方が多い昨今ですが、早期の英語教育には弊害もあるのです。
・ 0歳児からでもできるイマージョン教育ですが、母国語の習得の遅れを懸念する声もあります。
・ 母国語は、その人の基礎言語となるため、しっかり習得する必要があります。
・ 母国語も外国語も中途半端な場合、どちらも年齢相応の言語力を持たない「ダブルリミテッド」「セミリンガル」になる可能性があります。
・ 幼児期には、英語の音や発音を聴きとれる力を養うことが大切です。