モンシロチョウの幼虫とエサの関係についてです。
ぎらぎらと日差しがきつく、むしむしと湿度が高くなってきた初夏のある日のことです。
上の子供が、夏休みの自由研究で「モンシロチョウを卵から育ててみたい」と言い出しました。クラスの友達の男の子が育てているのを真似したくなったのです。
ほら、やっぱり!そうなると思っていました。
モンシロチョウのことは、この前しっかり予習しておいたので準備はばっちりです。
さっそくモンシロチョウの卵を採取しに行きましょう!
…ところが私の考えが甘かったのです。
この記事に書いてあること
モンシロチョウの幼虫のエサ:キャベツが大好物!
モンシロチョウは幼虫のエサになる植物に産卵します。キャベツやアブラナ、ダイコン、菜の花、ブロッコリー、小松菜などです。
モンシロチョウは中でもキャベツが大好物なので、キャベツ畑に行けば簡単に卵が見つかります。
近所にキャベツ畑がない
しかし、我が家の周りは住宅街です。当然近くにキャベツ畑がありません。
ご近所の知り合いにあたってみましたが、自宅でキャベツの家庭菜園している方はいませんでした。キャベツ以外でエサになるダイコン、ブロッコリー、小松菜などの畑もやっぱりありませんでした。
菜の花畑は?
モンシロチョウはアブラナや菜の花にも卵を産むことが分かっています。
菜の花畑なら近くの観光スポットになっている場所があったはずですが…。黄色い菜の花が咲き誇る時期は「春」です。ということは、夏の今頃ではもう菜の花は季節外れです。
これは困ったことになりましたよ。
モンシロチョウの幼虫のエサ:キャベツでなくても大丈夫?
近所にキャベツ畑もないし、菜の花の時期も終わってしまっています。こんな時は頭を切り替えてみましょう。
モンシロチョウは庭や公園によくいる
モンシロチョウは身近なチョウとして庭や公園でよく見かけるものです。冬を除いて飛んでいるのを見ることができます。
うちの近所の公園には、キャベツも菜の花も生えていませんが、モンシロチョウが飛んでいます。
ということは、庭や公園の草にも卵を産んでいる可能性があるではないでしょうか?
さっそく公園に確かめに行ってみました。
モンシロチョウの卵を探しに公園に
子供を公園に連れて遊びに行くたびに、モンシロチョウを探して観察していました。
けれども、花の蜜を吸ったり、公園の水場で休んでいたりする姿はあったのですが、肝心のモンシロチョウが卵を産んでいる場面には行き当りません。それから何日間か観察しましたが一向に卵を産んでいる様子はありませんでした。
それに実際観察してみると、思っていたほどモンシロチョウは飛んでいなかったのです。
モンシロチョウの卵が見つからない
公園のコスモスやヒマワリなどの花壇、野生のハルジョオンも調べました。けれど、モンシロチョウらしき卵や幼虫を見つけることはできませんでした。
予想が外れたみたい
観察した結果、モンシロチョウは公園に卵を産みに来ているのではなく、花の蜜を吸いに来ているだけのようです。そんなに沢山の数は飛んでいません。
やっぱりキャベツや菜の花がないとダメなのかもしれません。
チョウのエサ:チョウの種類でエサが決まっている?
なぜ公園のコスモスやヒマワリにモンシロチョウの幼虫がいないのか?図書館で調べにいくと、百科事典とチョウの図鑑に答えが見つかりました。
チョウの幼虫は狭食性である
動物の中には「決まった種類の食べ物しか食べない」ものがいます。食べられるエサの種類が狭い範囲しかないことを「狭食性(きょうしょくせい)」と呼びます。(百科事典より)
チョウの幼虫は「狭食性(きょうしょくせい)」の生き物です。チョウの種類ごとに決まった植物しか食べることができません。他の種類の植物を与えても食べられずに餓死してしまいます。(チョウの図鑑より)
つまり、幼虫の食べる植物は、ただの好物ではなくて、それしか食べられないという意味だったのです。
モンシロチョウの幼虫はキャベツや菜の花などしか食べられず、だから公園には幼虫がいなかったのです。
チョウの幼虫はどの植物を食べるの?
チョウの図鑑には、チョウの幼虫は種類ごとに食べる植物が詳しく載っていました。
モンシロチョウ: キャベツやアブラナ、菜の花など「アブラナ科の植物」を食べます。ダイコンやブロッコリー、小松菜もアブラナ科です。
アゲハチョウ: ミカンやカラタチ、ユズなど「ミカン類の植物」を食べます。アゲハチョウは私たちに身近なチョウです。モンシロチョウより大きくて、羽には黄色に黒の網目模様があります。
キアゲハ: セリやニンジン、パセリなど「セリ科の植物」を食べます。キアゲハはアゲハチョウによく似ていますが、エサの種類が違いますね。
カラスアゲハ: 山椒(サンショウ)やキハダの木の葉を食べます。カラスアゲハの成虫は黒い色のアゲハチョウの仲間ですが、やっぱりアゲハチョウとはエサの種類が違います。
ヤマトシジミ: カタバミを食べます。モンシロチョウより小さいチョウで、灰色や薄紫をしています。公園や住宅地にもよく飛んでいます。
イチモンジセセリ: イネやススキなどのイネ科を食べます。ヤマトシジミより大きめ。オレンジ色の羽のチョウでこれもよく見かけられる種類です。
オオムラサキ: 榎(エノキ)の木を食べます。オオムラサキは鮮やかな紫色の羽を持つチョウで、国蝶(こくちょう。国のチョウ)に指定されています。
カイコ: 桑(くわ)の葉を食べます(ちなみにカイコはチョウではなくてガの仲間です)。
身近なチョウをいくつか抜き出してみても、食べるエサが明らかに違っていることが分かりますね。
モンシロチョウの幼虫とエサの関係。食べる植物が決まっている? まとめ
モンシロチョウの幼虫はキャベツや菜の花などアブラナ科の植物しか食べないことが分かりました。
食べられるエサの種類が狭い範囲であることを「狭食性(きょうしょくせい)」と呼びます。チョウの幼虫は「狭食性」の生き物で、チョウの種類ごとに食べられる植物が違うことが分かりました。
つまり、我が家の近くにはアブラナ科の植物が生えていないので、モンシロチョウの幼虫を見つけられなくても、当然のことだったのです。
さて子供には事情を説明して、モンシロチョウをあきらめてもらいましょう。ところが。
子供「じゃあ、庭にキャベツを植えたらモンシロチョウが来るんじゃない?」
た、確かにその通り。でも、ずいぶん気の長いことを言い始めました。今から種をまいても夏休み中に育つかどうか…(ちなみに我が家ではキャベツを植えた経験はありません)。
夏の自由研究はキャベツの観察日記で終わってしまいそうな気がします。